着底す 2015 9 6
書名 「着底す」 津軽海峡に消えた中国の原子力潜水艦 対中国開戦の危機
著者 安東 能明 中公文庫
多くの人は、「なぜ、中国の原子力潜水艦が津軽海峡に」と思ったでしょう。
実は、津軽海峡は、国際海峡だからです。
津軽海峡は狭いので、全部を領海としても問題ありませんが、
日本政府は、海峡の中央部を公海(国際海峡)としていますので、
外国の船舶も津軽海峡を利用することができす。
なぜ津軽海峡を国際海峡にしているかは、諸説あり、
アメリカの原子力潜水艦を通過させるためだと言われることもあります。
そうすると、アメリカの原子力潜水艦が通過できるならば、
中国の原子力潜水艦も津軽海峡を通過できることになります。
津軽海峡の中央部は、公海だからです。
もちろん、このような海峡には、海中、海上に、
多くの監視装置がありますので、
不審船がやってくれば、すぐに判明してしまいます。
それなのに、なぜ、中国の原子力潜水艦は、
津軽海峡の海底に「着底」して動かないのか。
しかも、この原子力潜水艦は、
核弾道ミサイルを多数搭載している潜水艦でした。
そのため、日本国内だけでなく、
アメリカでも騒然となったという想定です。
小説の中で、主人公は、昔話を思い出します。
太平洋で演習を行っていたソ連の原子力潜水艦の一隻が、
大艦隊から離れて、ハワイ沖へ向かい、行方不明になったという話です。
そこで、アメリカは、ソ連の原子力潜水艦を手に入れることができるので、
猛烈にハワイ沖を探索して、ついにソ連の原子力潜水艦を発見しましたが、
沈没している原子力潜水艦の姿を見て、騒然となったのです。
なんと、核弾道ミサイルの発射管が破壊されていたのです。
これは、正規の手順を踏まずに核ミサイルのボタンが押された場合を意味します。
要するに、ソ連の原子力潜水艦の内部で、反乱が起こって、
誰かが正規の手順を踏まずに核ミサイルのボタンが押したことを推定させるのです。
さて、私は、何度も何度も書いていますが、
平時に有事を考える。
これが、政治家として最も必要とされる能力です。
いざ有事になってしまうと、
誰もが異常心理になってしまいます。
そうなれば、冷静な判断はできなくなるものです。
だからこそ、平時に有事を考えることが必要です。